ワクチンの感染予防率というのは、感染の原因となった人との接触の程度によって変わるのですか?それとも変わらないのですか?
例えば数字は調べてないので適当ですが、2度接種者の感染予防率が10%、3度接種者の感染予防率が30%と世間で言われているものは家庭内感染や学校、職場等のクラスターも感染源不明(か)も一緒くたの数字だと思います。
ここで仮に接触の度合いによって感染予防率が異なるとして、家庭内感染や学校、職場等のクラスター(以下濃厚接触)における2度接種者の感染予防率を0%、3度接種者の感染予防率を10%とします。また簡単に、感染者数における濃厚接触者の割合を40%、それ以外の感染を60%と分けます。
まずワクチン未接種者が1000人感染したとすると、感染予防率から2度接種者は900人、3度接種者は700人になります。
また上述で設定した条件からワクチン未接種者の濃厚接触による感染者は400人、それ以外が600人となります。
ここで濃厚接触の2度接種者の感染予防率が0%がなら2度接種者の濃厚接触による感染者は400人(ワクチン未接種者の家庭内感染等の100%)、3度接種者の感染予防率が10%なら3度接種者の濃厚接触による感染者は360人(ワクチン未接種者の家庭内感染等の90%)ということになります。
まとめましょう
ワクチン未接種者の濃厚接触による感染:400人
ワクチン未接種者のそれ以外の感染:600人
合計:1000人
2度接種者の濃厚接触による感染:400人
2度接種者のそれ以外の感染:500人
合計:900人
3度接種者の濃厚接触による感染:360人
3度接種者のそれ以外の感染:340人
合計:700人
2度接種者の感染予防率(全体)
900/1000=90%→10%
2度接種者の感染予防率(濃厚接触)
400/400=100%→0%
2度接種者の感染予防率(濃厚接触以外)
500/600=83%→17%
3度接種者の感染予防率(全体)
700/1000=70%→30%
3度接種者の感染予防率(濃厚接触)
360/400=90%→10%
3度接種者の感染予防率(濃厚接触以外)
340/600=57%→43%
すると、社会活動の部分においては、可視化されているワクチンの予防効果より高い効果がある→より低いワクチンの感染予防率で集団免疫が獲得される可能性がある……のではないかと思います。まあ妄想ですが。
ところで、こういう妄想は、感染者に関する多くのデータがあれば、補強や否定が可能です。いや、逆ですね。データがあれば、条件毎のワクチンの感染予防率の推定が科学的に可能になります。
ワクチンの有無、マスクの有無、家庭内感染か、職場感染か、会食で感染か、感染の心当たりがないのか、症状の有無、いつ発症したか、発症する前に人に移したか……感染者に関する情報はいわゆるビッグデータで宝の山だと思います。
感染症そのものについての知見も深まるでしょうし、私は人種や性別や、収入といった集団の分断などについても何かわかるのではないかと思います。
感染者の把握が困難になるという状況は、科学の敗北ではなく、科学で戦う前に敗北しています。PCR抑制論(事前確率論を含む)、自称専門家の経済優先バイアスによるコロナの軽視(感染症専門家は経済の事を考える必要はありません)などの感染者の把握を諦める状況を自称学者たちがつくってしまったことが科学の敗北です。
確かに別のやり方で、不正確ながら感染者数の概算は可能でしょう。感染症対策自体はそれでも可能かもしれない(というかウィズコロナ路線ではどっちにしろ誤るでしょう)。一方で今後に活かせるはずの情報が捨てられている。
私はより正確な情報を追い求めないものは科学者ではなく、むしろ情報を求め過ぎる(場合によってそれが倫理の問題となる)のが科学者であると思います。
最後に。
オミクロンのような感染力を持ったコロナが最初に登場していたら防ぎ得なかったかもしれません。しかし現在ではコロナに関する知見は少しずつ貯まり、オミクロンについてはその感染力も(そして弱毒の株でも多くの人が罹れば、強毒の株より多くの死者が出ることも)指摘されてきました。コロナ自体は疫病という災害ですが、徐々に人災の側面が強まりつつあるように感じます。感染しても診断や医療を一部の人しか得られないという状況を生んだのは科学の敗北だと思います。
診断をしないでコロナ後遺症の認定と救済は一体どうするのでしょうか。私は診断に関係なく救うしかないと思いますが、それには多くの税金が必要となります。その道を選んだのは検査を抑制したものです。また補償が必要な多くのコロナ後遺症者が生じたのは経済優先で感染者を減らす努力をしなかったものたちです。